Q.墨の磨り方について(美しい淡墨の出し方)。
 1.淡墨の場合、最初濃く磨ってあとで薄めるのが良いと言われるが、
   最初から一定量を薄
く磨ったものとの違いは。


.硯の鋒鋩により芯と滲みのバランスは大きく変わります。
細かい鋒鋩の硯も比較的粗い鋒鋩の硯も、その特性を生かすことにより色々な淡墨を楽しめます。
大切な点は墨磨りにあります。淡墨使用であっても墨はトロトロになるまで濃く磨って下さい。
濃く磨ることは、硯の鋒鋩における分散だけではなく、磨墨液が流動しあうことにより、より細かく分散するためです。
刃物を研ぐ時研ぎ汁を流し過ぎるとうまく刃物は研げません。
研ぎ汁が流動することにより、より冴えた研ぎができるのと原理は同じです。
墨は濃く磨り下ろして、必要な濃度まで薄めることが大切です。
磨る時の力の入れ具合いも大切で、力を入れ過ぎると粗くなります。
芯と滲みのバランス等表現の面白さを考えてお試し下さい。多量の水の中に少し磨り下ろした淡墨は、その硯の鋒鋩が作り出す分散で、硯の性質がはっきり現れますが少し硬いように思います。
濃く磨ることは磨墨液の粒子分布の幅を広げ、淡墨における冴え・立体感を表現するために大切なことと考えます。

 2.墨の磨り方で墨色が違うと聞きましたがどうしてですか。
.固形墨の墨色は硯の持つ鋒鋩の分散液なのです。磨り下ろした煤の大きさで色は異なって見えます。
淡墨にすれば良く解りますが、細かく磨墨した分散液は、筆跡と滲みの濃さの差が少なく明るい色調となりますが、粗く磨墨した分散液は、筆跡と滲みの差がはっきりした濁りのある暗い色調になります。
濃く使いますと細かい時は反射色であるものが粗い時には吸収色になります。
これは磨り下ろした煤の粒子の集合体の大小に起因致します。
書き味では細かく磨りますと流れが良くなり暢びも良くなりますが、粗く磨りますと暢びが悪くなり筆が重くなります。
一つの墨で硯を変えることにより、また、力の入れ加減を変えて磨墨することにより、色々の色調を表現できるのは、固形墨だけの面白みでもあります。