Q.屋は毎日筆を使いますので、ご参考までに腰固めをつぶさない、
    洗い水の最も少ない環境汚染に配慮した洗い方をお話しします


まず硯の中に残った墨を筆で吸い取り、書き損じの和紙か新聞紙に吸い取らせます。
この時、紙で筆を拭うのでは無くて、丸でも線でも結構ですが普段字を書く要領で吸い取らせます。
次にその筆が吸い取れる水の量(2〜3cc)を硯に入れ、硯全体を筆で柔らかく洗い紙に吸い取らせます。
この作業を6回繰り返しますと濃さは1/64となり硯にも筆にも炭素や膠・合成樹脂の残りはわずかになります。
その後コップ半分程度の水で先に筆を振り洗いし、残り水で硯を洗いますと完了です。後は良く水切りし乾燥させることです。
牛乳ビン半分程度の水で完了し廃液も少なく、腰砕けも無くそれ以上に10倍も20倍も筆の寿命が延びるのです。
それだけではありません、この間に逆毛等も抜け、筆が練れてくると言うのでしょうか、新筆では味わえない手になじんだ手放すことのできない道具になります。
時間も10分程度で終わり、毎回気持ちの良い硯と筆を使えるのですから精神面でも良いはずです。
墨屋は毎日数多くの筆を使いますので、しかも淡墨の試験が多いものですから筆洗いが非常に大切ですし、一本の筆を穂先の毛が無くなるまで5年も6年も使います。
学校や塾でもこの筆洗いの方法を子供さん達に教えて戴けましたら、環境問題の実践教育になりますし、道具を大切に使う教育にもなり経済的です。
最近学校で行き過ぎた環境重視のため筆を洗わせずに、ビニールで穂首を包んで持ち帰らせ家庭で洗わせたり、次の授業までそのまま書道箱の中に入れておくなどして、カビが生えたり毛が折れる事故が多くなっています。
ひどいのは次の授業まで穂首が乾かないような液体墨を造れとの依頼も参ります。私はお習字がうまくなる大きな条件は道具を正しく使うことから始まると思いますが、いかがでしょう。
もう一つ面白いことは、この筆洗いの6段階の墨色を適当な和紙に書き、墨の名前・日付を控えておきますとその墨の個性が解ります。
また、年毎に書いておきますと墨の経年変化がつかめ、立派なご自分だけの色見本ができますし新たに墨をお買い求めになる時の目安になり業者へのご要望も具体的になります。
是非お試し戴きたいと思います。