株墨運堂                           拓  本

拓本講座

 広辞苑には、「木や石、または石碑や器物に凸、凹刻された文字・文様を紙にうつしとったもの。
また、それを本にしたもの。

 その方法に湿拓と乾拓とがある。湿拓は画箋紙か綿紙を被写物の上にのべこれに水を刷いて密着させ、上から墨汁をしめしたたんぽでたたく。乾拓は湿さずに蝋墨または釣鐘墨で上から摺る。石摺(いしずり)搨本(とうほん)」と記されています。

 中国では、主に古碑や名筆家の筆跡を石や木に刻み拓本を取り、学問や書道の研究に手本として広く利用されました。日本では、江戸時代に石摺りとして、金石文、考古学者、書道家の間で普及しましたが、詳しい技法が伝わらず各人各様が創意工夫しながら、研究していたと思われます。

 現代では、拓本は書道の手本をはじめ考古学の研究手段として、趣味として広く親しまれるようになりました。

拓本のとり方

基礎編

 拓本を初めてされる方は、御家庭内にある凹凸の面をもった物(おぼん、レリーフ等)を素材にして練習をしてから、 屋外へ採拓にでかけてください。基本的な技法をマスターしないと貴重な被拓物を汚す結果となります。

 水貼り技法

1 被拓物に拓紙をのせ、その上から霧吹きで均一に湿らせます。拓象用紙を以後拓紙と呼びます。

2 拓紙が湿ったら、化繊綿を丸めて、軽く押し、少しずつ密着させていく。ひねったり横にこすると拓紙が毛羽立ったり、シワになるから注意してください。中心から放射状に気泡を送り出すように少しずつ外側へ押します。

3 被拓物の形が、正しく浮きでるように、少し強く押します。

4 拓紙の上に布を当て、打刷毛で叩き拓紙を被拓物に密着させます。
   この時も気泡が外へ出るように叩いてください。

4−I 布をはずし、再度、綿で拓紙面全体を押さえ気泡や拓紙の浮きがないことを確かめてください。

5 拓紙の湿りを均一にするため、ほご紙で余分な水分を取り除く。少し白くなったときもう一度押しつけ密着させる。  この状態ではじめて打墨ができます。墨がにじまずに美しく打てる紙の湿り具合いのタイミングは、経験による体得以外に方法はありません。

 打墨技法

1 いよいよ打墨です。「拓象」から親タンポに少し墨をとります。

2 親タンポと打タンポとをよく摺り合わせて均一に打タンポヘ墨を移します。

3 打タンポの墨の調子を、別の拓紙と同じ紙の上で試し打ちをします。墨色の調整

4 打タンポの墨にボタつきが無い状態で、直角に軽く打墨をはじめます。
  一度に仕上げることをせず、女性が化粧する時のパフのリズムで軽く打墨します。

5 リズミカルに墨の調子を見ながら、タンポを直角に、軽く叩くようにして打墨を進めます。
  打タンポの墨は、いつも均一に親タンポからこすり取るように補充します。

6 ポイントになるところは、小さいタンポで、丁寧に打墨して仕上げます。

7 採拓完了。静かに一方向から、持ち上げるようにはがします。
  採拓後、拓紙の裏面を見て墨が透過していないことを確かめてください。

  被拓物を汚さないためです。

水貼りC 打墨C 完成